BACK 83番 一宮寺
5月11日(39日目)
夜中に犬の鳴き声がうるさかった。
テントをたたんで歩き始めたのは6時。
遍路道の標識に従って右に歩いていったが、このため池の池畔には石仏が並んでいた。
だがいくら歩いていっても、ちっとも屋島に向かって登って行かない。方角もおかしいので地図と磁石で確認したら、今歩いている道は85番八栗寺にむかう迂回路なのだ。
あわてて引き返した。20分ほど時間のロスをした。
屋島に登って行く。テントを張ったところから少し行くと、左に東屋があった。どうもこれが教えられた東屋のようだ。昨日のテントを張ったところは、東屋とはいえないところだったから。
急な阪を登って行くと、散歩のおじいさん、おばあさんがけっこう多い。この屋島というのは毎日登山がさかんなようで、山頂にはその何百回記念とかのプレートとか登山確認のスタンプが置いてあったりするのだ。神戸の六甲山のようである。
山に向って登って行くと、途中に大師ゆかりの遺跡、「屋島御加持水」と「喰わずの梨」があった。ところが遍路地図にはこの順序が逆に書かれている。もう御加持水に着いたと喜んだのに…。喰わずの梨というのはお大師様が梨を所望したのに、この梨は喰えないのだと嘘をいっため、ほんとうに硬くて喰えない梨になってしまったという伝説なのだ。
坂道を登って行くと、左には高松市街が広がってくる。さすが県庁所在地、大都会である。
登りついたところが屋島寺の入り口の山門。その前は広々とした広場がある。7時20分であった。
屋島寺は大きな伽藍が並び、境内には宝物館がある。博物館のようなコンクリート造りのりっぱな近代建築である。本堂は重要文化財で堂々とした風格をもっている。
朝早いので、他の遍路はいなかった。
ここの本堂は鎌倉時代のもので、重要文化財に指定されているのだ。
本堂の隣には赤い鳥居がならぶ神社がある。そして狸の像がおかれている。この神社は「蓑山大明神」といって、日本三大タヌキの「太三郎狸」をまつっているのだそうだ。
参拝を終えてからは、西の門を出た。
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溜め池から屋島が仰げる
池畔には石仏が並んでいた
屋島御加持水
喰わずの梨
山門をくぐるともう一つ門がある
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